与太者ブログ

日々思ったことを徒然に書いています

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給与で会社と争った話

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争ったが、司法機関に頼むまではいかなかった

その手前で終わってしまったのだ

会社と争うとどうなるのか、ということを記していきたい

 

自分がいた会社について

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自分が当時勤務していた会社は、中部地方ベンチャー企業だった

マッチングサイトの運営をしている企業だった

自分はそこのコールセンターに勤務していた

内容は住宅の鍵開けやトイレの水詰まりなどの生活関連のトラブルの受付だった

HPを見たお客さんから電話があり、それをコールセンターの人間が受けて、全国にある提携をしている業者に、こういう案件がありますよと紹介していく仕事だった

雇用形態は正社員だった

コールセンターの勤務だったが、自分は夜間部門の勤務で主に、夜の9時から朝の7時くらいまで勤務していた

 

会社の雰囲気

業務内容自体はどこにでもありそうな会社だが、会社としてはかなり問題のある企業だった

 

雇用形態

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正社員として入社していたが、これにも理由があった

みなし残業制度を採用していた

月に45時間までの残業は給与としてあらかじめ組み込まれており、いくら残業しても変わらなかった

また、退職までの期間も事前に申し出るのが二ヶ月前と、普通の会社と比べると長かった

 

研修

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研修はほぼOJTでマニュアルもろくにない会社だった

ルールではなく、裁量のある人間のいうことで、ルールが二転三転する会社だった

知らないことを聞くと怒られるという理不尽極まりない会社だった

また、継続性のない会社なので、昨日までは正しいルールが今日は間違い、ということもあった

 

数字に異様に細かい

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コールセンターは、通話時間や成約数など数字に追われる

自分はこの会社以外にもいくつかのコールセンターを経験したが、この会社ほど数字にこだわる会社はなかった

数字にこだわること自体は悪くはないが、あまり意味がなく、業績に直結しないような数字の追い方なのが気になった

まず、通話時間を短くするように言われた

お客さんには質問をさせず、自分の話ばかりをして、電話を切れというのだ

お客さんに口を挟ませるな、という

こんなことを言われたのは、後にも先にもこの会社だけだった

普通のコールセンターは、お客さんが話したら、その話を遮ることはない

通常はクローズの前に何かご不明点はございませんか、と聞くものだ

 

また、失注率という確率の計算もされていた

お客さんが会社の運営するHPを見て電話をかけてくる

それでお客さんからやっぱりいいと言われたりして、切られて、提携している業者からの電話を待ってもらえないと、失注になるというものだ

これは正しいように感じるが、ただ、これもユーザー目線には立っていなかった

例えば質問だけだったり、気が変わって電話が切られても失敗とみなされた

そこでこの会社のオペレーターは強引に話を終わらせて成約にしていた

当然、コールセンターへのクレームは大変に多かった

 

数字にこだわるのであれば、各顧客の売り上げなどを計算すればいいと思うのだが、なぜかそれはされていなかった

利益がたとえ通話時間が長くても、その客の単価が高ければいいと思うのだが、その辺は考慮しないらしい

あまり利益に直結しないような数字を気にするのでよくわからなかった

 

HPの料金表示のことで、公正取引委員会から電話がかかってくる

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上記のような会社なので、HPに記載されている料金も、不当に安く表示されていた

理由は、そのほうがかかってくる電話が多い、からだ

ただ、かかってくる電話は多いが、HP記載の料金で施工できることはほぼないので、施工までどれくらいいたっていたのか謎である

そういうわけで公正取引委員会から電話がかかってきていた

「根拠のない料金を表示している」と。

クレームで消費者センターからも電話がかかることが頻繁にあったので、消費者庁から公正取引委員会に委託されたようだった

 

ここまで、負担は社員、お客さんときたが、やはりこういう会社なので、提携している業者にも搾取をしている

 

手数料が業界標準の三倍

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通常、自分が勤務していた会社の業界では、案件の紹介料として10%程度のマージンをとっていたが、30%のマージンをとっていた

そのため、料金は高額にせざるをえず、不当に安い金額を表示している当社に連絡が入ることはよくあった

あの値段はなんなのか、と

ただ、そうして搾取をしているものの肝心の自分たちの会社の利益も低いものだった

Googleやyahooに、当社のHPの検索順位をあげるように料金を支払っていたからだ

自分がいた会社も搾取を受けていたというべきだろうか

 

会社と自分とのやりとり

さて、これでも簡単に勤務していた会社の状況を記したつもりだ

こうしたわけのわからないことをやっている会社なので、当然わけのわからないことにも出会すわけだ

これからは給与で会社と争うまでを時系列で順番に見ていきたい

 

入社1年目の夏

夏に入社した

くそみたいな研修の後、夜間部門のコールセンターに配属されたが、変わり者ばかりなので合わなかった

 

入社1年目の秋

以前までコールセンターの部長を務めていた人間が課長になり、新しく転職してきた男性が部長になった

この新しい部長のやり方に、自分が勤務していた夜間部門の人間は反発するようになる

 

入社1年目の春

夜間部門にいた人間は新しい部長に反発し、ほとんど退職した

かわりに自分が夜間部門の実質的なトップになった

このとき、自分の給与は引き止めの意味もあり、3万くらいだったか上がっていた

本が少ないので、それで適性なんだけども

それから夏頃まで人数が自分を含めて四名まで減った夜間部門の中で自分なりに必死に働いていた

ただ、いい加減な会社なので、いい加減ではあったけど

夏頃になって、以前まで夜間部門で働いていた人間が戻ってくることになった

自分は夏を迎えて2年目に入る

また、この頃には新しい部長は休職し、課長に降格していた以前の部長が実質的にコールセンターをとりしきっていた

この課長が、以前の夜間部門の人間を呼び戻している

 

入社2年目の夏から秋

以前の夜間部門の人間と自分は折り合いが悪かったので、自分のやり方に難癖をつけはじめた

結局自分は、責任者としての能力が足りないということで外されてしまう

以前の夜間の人間が管理者としてやることになるが、自分はいい加減だが、新しく入ってきた人にやさしくしていたので、以前の夜間の人間が逆に馴染めないという変な状況になる

ただ、自分は能力が足りていないということで、教育について口を出してはいけないとかいろいろな制約がつくようになった

 

入社2年目の11月

たしか、このときに課長に呼ばれて、「給与を10月分から下げる」と言われたのだ

理由は引き止めの意味もあってアップしている給与が、給与アップの理由としてはおかしいというものだった

そこで課長から書類を渡されて、署名押印の上、提出するように言われた

とりあえず紙は受け取った

 

コールセンターとしてあるまじきことだが、このコールセンターではネットサーフィンが自在にできたので、自分は暇な時間に弁護士ドットコムというサイトを閲覧していた

そのため、労働問題に関しても簡単な知識があった

給与の引き下げは、会社の規則の変更、もしくは社員の同意がないかぎりはなかなか変動できるものではないということだ

自分はさっそく弁護士ドットコムにこの件を投稿すると、弁護士からは労基もしくは労働局に相談するようにと言われた

 

入社2年目の11月 労基・労働局

自分はまず労働基準監督署に赴いたが、ここの対応は酷かった

労基でも対応できる内容とできない内容があるのだが、話をろくに聞きもしないのに、こちらではその内容はちょっとできないです、というようなことを言い出したのだ

結局自分の方が知識があったので、労基で対応する内容であり、会社へ引き下げられた給与分の振り込みを要請する書面のテンプレを渡された

給与が実際に振り込まれて、下がっていたらこれを出しなさいと

労働局にも相談に行ったが、労働局の人はかなり親切に対応してくれた

その人が言うには少なくとも11月になってから10月分の給与引き下げを言われても、事前通告ではないので無効なのだと言う

後にネットニュースを見て知るが、労働局と労働基準監督署で判断が分かれることもある

なので、両方に相談した方が良いと思う

また、対応する人間が非正規の人間で、労働法についてよくわかっていない可能性もあるので、自分でもきちんと勉強した上で話をしないと本当に違法でも違うと言われることもありうる

 

入社2年目の12月

11月末日に振り込まれた10月分の給与は、言われた通り引き下げられていた

自分は労基署の人間から渡された書面通りに、勤務している社長に向けて未払いの給与を支払うように郵便を出した

ここでは普通郵便ではなく、内容証明のような発送した記録が残るもので発送した

そうするように労基から言われていた

 

発送するとすぐに、会社の人間から呼び出された

課長と、人事の部長と、取締役だったかがいたと思う

社員証の発行や保険証の発行はやたら待たせるが、こういうことはアクションが早かった

この社長宛の請求書は何なのかと言われた

自分は、規則の変更や本人の同意のない給与の引き下げは違法であることを説明した

人事部長は「会社の規則にはちゃんと記載がある」と言っていた

結局その日はそれだけで終わった

 

入社2年目の12月 その2

それからしばらくしてまた呼ばれた

ほぼ前回と同じメンバーだったと思う

結果的に自分の言われた通りの金額を支払うと言うことだった

ただ、11月からは給与を引き下げると言われたので、11月のいつだったかは忘れたが半ばくらいになって引き下げを言われたので、その分は日割りで計算してくれ、というとまた相手は顔を見合わせていた

課長は自分はちゃんと事前に説明している、と虚しく叫んでいた

ただ、人事部長も取締役もほとんどとりあっていなかった

 

退職まで

その後、年が明けた3月いっぱいで退職した

給与は引き下げられていなかった

どうも、自分が抵抗したので引き下げるとやっかいなことになると思われたらしい

退職する際には二ヶ月前の申し出が必要だが、自分は一ヶ月前の申し出で何も言われなかった

自分は上の人間からは相当厄介者と思われていたらしい

 

会社と争った中で感じたこと

会社の認知の歪み

この件でラッキーだったのは、勤めていた会社が、自分たちはきちんとした会社だと言う認知の歪みを起こしていたことがである

きちんした会社であり、法的にも問題のない会社だと言う認識で動いていた

なので、きちんとした手続きを踏んでいないので支払わなければいけないと、思ったのではないかということだ

もし違法なことをして、それがどうした、と開き直っている会社なら無視されていたのではないか、こうもすんなり請求金額が支払われると言うことはなかったように思う

会社の中にいた時は頭がおかしいのではないかと思っていたが、思わぬところで自分にプラスに働いた

 簡単な労働法に関する知識が自分にあった

前述しているが、簡単な労働法に関する知識が自分にはあった

弁護士ドットコムで暇つぶしにいろんな法律相談を見ていたことがプラスに働いた

自分一人で戦うと大変だが、第三者機関に相談しながら動くと一人ではないし心強い

人と違うことをするのに恐れない精神

もしかすると、これが一番大きかったかも知れない

自分は、ますむらひろしさんと言う漫画家の人が「アタゴオル物語」という漫画の中でキャラクターに言わせたセリフに強い影響を受けた

『みんなが同じ服を着て、同じ歌を歌うようになっても、どうしてあいつは平気だったんだろう』と。

あるキャラクターは破天荒な性格だが、周りに流されなかったのでこうしたセリフが出てきたのだ

自分も服装や音楽の趣味は特殊だった

周りと合わないと思うことは何度もあった

だが、こうした組織と戦うことにおいてはプラスに働いた

圧力をかけられても屈しない精神力と冷静な判断を下すことができたからだ

会社のその後

その後、自分の退職後に残ったメンバーに給与引き下げが行われた

めちゃくちゃな運営をしている会社なので、株価は下がり、業績も悪化していたのが原因と思われる

自分は会社相手に抵抗したが、残ったメンバーは請求などの抵抗をしなかった

自分がきちんと給与金額を勝ち取ったにもかかわらず

 

組織を相手に戦う、というのはなかなかに勇気がいることのようである